褒め上手と言われて

2年くらい前に五十六メソッドとして聞いた「やって見せ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ」は私の仕事の上で大切にしている言葉の1つだけど、この中の人を褒めることはなかなかやれそうでやれなかった。ところが先日、人から褒め上手と言われた。なんでも私のプレゼンテーションの冒頭で人を上手に褒めたたえていたのだそうだ。確かにある人の行為を素晴らしいと話をしたのだけど、褒めたつもりはなかった。ただ単に素晴らしいと感じたことをそのまま語ったに過ぎなかった。
そういえば別の人からも同じように褒めるのがうまいと言われたことがあったが、その時も単にその人の言動が尊敬に値する物だったからそう言っただけだった。どうも褒めるというのはその人を尊敬したり素晴らしいと感じたことをそのまま素直に言うことのようだ。私は知らず知らずのうちに人の素晴らしい部分を素直に話せるようになっていて、それが褒め上手に見られたのだろう。
いつ頃からそうなったのか。思い当たるのは私が社外のセミナーや勉強会に参加し始めたのと重なることだ。社外の人と話をすると、みなさん様々な経験に基づいた強い意見を持っている方がたくさんいて、得られることがほんとに多い。また社内で常識と思っていたことがことごとく間違っていたことに気付かされることもある。するとどうしても社内で「それは違う」と言ってしまうが、たいがいはそれは通じない。しかし間違いがわかるということは、その人の正しい部分もわかるということだ。それが尊敬や素晴らしいと思う気持ちにつながっていったのだろう。
私は確かに褒め上手なのかもしれないが、同時に間違っていることを「間違っている」と言うことも必要だと考え、今、いくつかの場で実践を開始した。実践をして思うのは、間違いを指摘することは褒めることよりもっと難しいということだ。ただ褒めることが私の本音を語ることと同じことだったように、間違いの指摘もきっと本音を語ることに違いないはず。そう考えてこれからも実践していくつもりだ。